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サブ・ゼロの使い魔 第二章 傅く者と裏切る者 ――また、あの夢だった。古びた部屋にいる、誰かになった自分の夢。 だが、今回はいつもと違った。ルイズがその夢を知覚したと同時に、全ての霧はざあっという音と共に消え去り――そしてその瞬間、ルイズは部屋にいる男達のことをまるで遥か昔から知っているように理解していた。 後ろのソファに座って仲良く話している二人・・・ソルベとジェラート。 椅子に座ってテーブルの上の変な物体を叩いている男・・・メローネ。 椅子の背に手を置いて彼の肩越しにそれを覗き込んでいるのは、イルーゾォ。 立ったまま壁に背を預けて本を読んでいるリゾットは、たまにこちらを見てはやれやれといった顔をしている。 そして先ほどから二人して自分に怒鳴り続けているのはホルマジオとプロシュート。 二人がかりの説教を喰らっている自分は・・・そう、ギアッチョだった。 「ギアッチョッ!何度言ったら分かるんだてめーッ!!」 プロシュートが上半身を乗り出して怒鳴っている。 「しょーがねーなぁぁぁ これで何冊目だっつーんだよギアッチョさんよォォ」 右手に持った本だったものの残骸をバンバンと叩きながらホルマジオもプロシュートに加勢するが、当のギアッチョはどこ吹く風で受け流す。 ・・・というか全く聞いていない。 「何で3ページで打ち切りになるんだよォォォ~~~ッ!! ナメてんのかオレをッ!!クソッ!クソッ!!まそっぷって何だ!バカにしやがって!!」 イルーゾォが呆れた顔でプロシュート達を見る。 「だから言ったじゃあないか・・・ギアッチョにだけは物を貸すなってよォー」 「そのくらい諦めるんだな オレなんてパソコンを破壊されてるんだぜ」 同じく顔を上げたメローネはそう言って首を振った。ソルベとジェラートはそんな彼らをニヤニヤ笑いながら眺めている。 「外野は黙ってろッ!今日という今日は許さねぇぜギアッチョ!」 「仲間に対する敬意ってもんが足りねーんじゃあねーか?オイ」 プロシュート達の怒りは全く収まらないようだった。 「やれやれ・・・ お前達・・・その辺にしておけ そんなことをいくら言おうがギアッチョには通じないことぐらい知っているだろう」 パタンと本を閉じて、リゾットがリーダーらしく彼らを制止する。 プロシュートとホルマジオは「甘いぜリゾット」という視線を彼に向けるが、リゾットが続けて「ギアッチョ、お前は弁償しておけ」と言ったのを聞いてとりあえずその場は収めることにした。ギアッチョはその言葉に不満げな表情で財布を出し―― ――場面が飛んだ。 ギアッチョの前には古びた扉がある。決まったリズムでそれを叩くと、少ししてから軋んだ音を立てて扉が開いた。 「仕事は終わったぜ、リゾット」 扉を開けたリゾットにそう報告して、ギアッチョは中に入る。 彼に続いてメローネが入ってきたのを確認して、リゾットは彼らにねぎらいの言葉をかけた。 「・・・ま、今回もくだらねー仕事だったがよォォ どうせやるならもう少し面白みのあるやつを回してもらいてぇもんだ」 とギアッチョが言えば、 「簡単なのに越したことはないさ・・・ こんなはした金で命を捨てたくはないからな」 タッグを組んでいたメローネがそう答える。ギアッチョはフンと鼻を鳴らすとどっかりと椅子に腰を落とした。 と、ウヒャヒャヒャヒャという聞き慣れた笑い声が場に響き、ギアッチョ達は声を発した男に目を向ける。 ホルマジオはイルーゾォと机を挟んで向かい合っていた。 二人の横にはプロシュートが陣取り、奥のソファには相変わらずソルベとジェラートが座っている。 そして彼ら全員の視線が集まっているのは、テーブルの上にあるチェス盤だった。 ホルマジオは盤からイルーゾォに視線を移して言い放つ。 「チェックメイトだ オレの勝ちだぜイルーゾォ!」 「バ・・・バカな・・・ただのポーンなんかにィィィ!」 イルーゾォが信じられないという顔で叫ぶ。 「クハハハハハハッ!分かってねェーなァァ チェスって奴をよォォー! 駒の強さなんてもんは所詮ここの使い方一つだぜェェ~」 ホルマジオは人差し指で自分の頭をトントンと叩きながら言った。 「クッ・・・クソッ!再戦だ!もう一度やらせろ!」 「ダメだね ほら!とっとと賭け金をよこしなよイルーゾォよォ~!」 イルーゾォの願いをホルマジオはあっさり跳ね除けた。イルーゾォはしばらくの間「再戦の拒否は許可しないィィィー!」等と叫んでいたが、結局彼のスタンド、リトル・フィートにガッシリ押さえ込まれて財布から二割増しで金を抜き取られていた。 「やれやれ どきなイルーゾォ オレが仇をとってやるよ・・・なぁに、ボードゲームは得意なんだぜ」 メローネが自信たっぷりに椅子に座り、 速攻で敗北した。 部屋の隅で頭を抱えているメローネを尻目にギアッチョが挑み、敗北。プロシュートが挑み、敗北。ソルベが挑みジェラートが挑み・・・ 敗北。敗北。敗北。 「てめーイカサマやってんじゃねーだろーなァァーー!!」 「何逆ギレしてんだオイ!しょぉぉがねーなァァアァ!」 度重なる敗北についにギアッチョがブチ切れた。 その瞬間、今がチャンスとばかりにプロシュートがホルマジオを蹴っ飛ばし、そのスキにソルベとジェラートが彼に飛び掛り、イルーゾォが一瞬でその財布を奪い取り、メローネが皆の取り分を計算して分配した。 「ちょっ・・・何やってんだてめーらァァァ!!」 「うるせェェェ!勝負になるかボケッ!!」 七人はギャーギャーと騒ぎ続け、リゾットはそれをいつものことだというような眼で見つめていた。 そしてもう一人、ギアッチョの眼を通してルイズもまた彼らを見つめている。 喧嘩ばかりしているが、ルイズの眼には彼らはとても楽しそうに見えた。 常に四面楚歌で命のやり取りをしているからこそ、きっと彼らは死よりも強い絆で結ばれているのだろう。 バカ騒ぎを続ける彼らを、ルイズの心は羨ましそうに見つめていた。 そうしてルイズの夢はいくつもの場面を映し出す。しかしその内容は、徐々に不穏の色を帯びて来た。 場面が過ぎる度に、自分達の理不尽な待遇に、彼らのボスに対する不満は高まって行くのだった。 そして幾度目かの場面転換の後――ついにそれは起こった。 ドンドンドンドンドンドンッ!!! アジトの扉が猛烈に叩かれる。中で待機をしていたギアッチョとメローネ、そしてリゾットとプロシュートは一斉にスタンドを発現させた。 「おいッ!!開けろ・・・!!大変なんだよ!!ジェラートが殺されたッ!!」 「リゾットッ!!オレだ、ホルマジオだッ!!早くここを開けろォォォ!!」 決められたノックをしないことにリゾット達は不審を抱いていたが、その声はどう聞いてもイルーゾォとホルマジオだ。そして彼らが口にした言葉は、彼らにとってこれ以上なく衝撃的なものだった。 プロシュートのザ・グレイトフル・デッドを使って扉を開ける。最初に転がり込んできたイルーゾォの襟首を、ギアッチョが強引に掴んで引き上げた。 「てめーイルーゾォ!!タチの悪い冗談はやめろッ!!」 ギアッチョが人を殺しかねない剣幕で怒鳴る。しかしイルーゾォは苦渋に満ちた顔で答えた。 「嘘じゃない・・・!!『罰』と書かれた紙を身体に貼り付けて・・・ッ!!」 サイレントの魔法がかかったかのように、その場は静まり返った。 ――・・・そんな・・・嘘・・・ ルイズは崩れ落ちそうになった。勿論、今はリプレイされるギアッチョの幻に宿るただの意識である彼女には不可能なことであったが。 ギアッチョの仲間は、リーダーを除き全てが死んだ・・・それは理解しているはずだった。 しかしギアッチョを通して幾つもの場面を共有した今、ルイズに彼らの死を無関心に眺めることなど出来るはずがない。 だがそんな彼女の気持ちなど一顧だにせず、場面は無情に進んで行く。 ジェラートは自宅のソファで、恐怖に顔を引き攣らせて絶命していた。 「ジェラート・・・おいジェラートッ!!」 プロシュートがジェラートを揺さぶる。リゾットは彼の肩を掴んでそれを止めた。 「やめろ・・・プロシュート ・・・ジェラートはもう死んでいる」 「クソッたれがッ!!」 プロシュートは怒りを吐き捨てて立ち上がった。逆にメローネは、その場にがっくりと膝を落とす。 「・・・ボスだ・・・ボスの正体を探ったことがバレて・・・・・・」 ギアッチョは唇を噛んで怒りを耐えていた。ギリギリと音がするほど噛まれた唇からは、彼らの心を代弁するかのように血が流れている。 「・・・ホルマジオ イルーゾォ ソルベはどこだ?」 リゾットが二人に向き直るが、彼らは俯いたまま黙って首を横に振った。 「クソッ・・・!お前達・・・ソルベを探せ!!」 リゾットは焦燥感も露に叫んだ。 そして場面はまた一つ飛ぶ。 ギアッチョ達はアジトに集合していた。彼らの足元の床には、七十サント四方程の箱が数えて三十六個転がっている。 その箱にはガラスのケースに額縁を嵌めたようなものが入っていて、その中に何か気持ちの悪いものが、 ――・・・そんな 彼らは最後の一つまで開封して、やっとそれが何かに気付いた。 ――やめて ・・・いや、解ってはいたが・・・気付かない振りをしていた。彼らが送られてきた順にそれらを並べてみると、 ――お願いだからもうやめて・・・! 三十六個に斬り分けられた、輪切りのソルベが、 ――あぁあぁああああああぁああああッ!!! ルイズはいっそ気絶してしまえたらどんなに楽だろうかと思った。 しかし今はただギアッチョを通して彼の過去を見ている「意識」だけの状態であるルイズには、気絶どころか顔を覆うことも背けることも出来ず・・・彼らの為にただ涙を流すことすら出来なかった。 しかし、眼前の場面は冷徹なまでに滞りなく流れ続ける。自分達を嘲笑うかのように警告の道具としてソルベを惨殺したボスに、誰もが怒りを必死に押し殺す中―― バギャアッ!!! ギアッチョの我慢は限界を超えた。 「あの野郎ォオオォオォォオオーーーーーーーーーーーッ!!!!」 テーブルを叩き割り、ギアッチョは天地が割れんばかりの声で叫んだ。 「殺すッ!!!オレが殺してやるッ!!!」 額縁を梱包していた箱を踏み破りながら、ギアッチョは悪鬼の如き凶相で扉へと向かう。 プロシュートが「早まるんじゃあねぇ!」と手を伸ばすが、ギアッチョは彼に眼も向けずにその手を払いのけた。 しかし、その先でギアッチョの足がピタリと止まる。扉の前に、リゾットが立ちふさがっていた。 「どけよ・・・リゾット!!」 怒りに沸き立つギアッチョの双眸がリゾットを射抜く。しかしリゾットは充血した両眼でギアッチョの視線を真っ向から受け止めた。 「リーダーとして・・・ギアッチョ、お前を行かせるわけにはいかない」 「何故だッ!!」 ギアッチョは激昂して叫ぶ。 「ええ!?オレ達は一体何年屈辱に耐えてきた!?命を賭けて組織の敵を排除し続けてよォォーー・・・オレ達は文字通りパッショーネに命を捧げてきたッ!!いつか忠誠が報われる日が来ると信じてなァァ!! それが何なんだこのザマはッ!!オレ達の誇りだけじゃあ飽き足らず、ボスの野郎はソルベとジェラートを無惨に殺し・・・そしてその死まで侮辱したッ!!ここまでされてよォォォー!!一体いつまで耐え続けろっつーんだッ!!」 ギアッチョは怒りに任せてまくし立てた。 「落ち着けギアッチョ・・・! オレは・・・いや、オレ達の誰一人としてこの状況を受け入れている者はいない・・・ だが耐えるんだ!」 リゾットはそう言うと、ギアッチョが何かを言う前に続ける。 「ボスの正体を探ろうとしたんだ・・・オレ達が関わっていようがいまいが、ボスは既に・・・間違いなくオレ達を監視下に置いているはずだ そんな状態で一体何が出来る・・・?刺し違えるどころか、ボスに辿り着くことすら出来ないだろう」 ギアッチョはぐっと言葉を詰まらせる。 「今は伏して耐えるんだ・・・ ボスを倒す『チャンス』が来るまで!」 リゾットの眼は『覚悟』している者の眼だった。ギアッチョは壁を一発猛烈な音を立てて殴りつけると、その拳を震わせながら収めた。 ルイズは今度こそギアッチョの気持ちを理解した。彼女の耳には、食堂でギアッチョが叫んだ言葉が木霊していた。 『オレ達の命は安かねェんだッ!!!』 これだけの言葉に、一体どれほどの無念が込められていたのだろう。 ルイズにはもう結末が分かっている。リゾットの部下は、全員が死亡する。 ならば例え彼がボスに打ち勝ったとしても、一体その勝利にはどれほどの意味があるのだろうか? 仲間を失くし、ボスを殺して生きる目的までも失ってしまったならば、リゾットはもはや一人で生きていけるのだろうか。 そして、殆ど全ての仲間を失って唯一人生きながらえてしまったギアッチョは? 己が立っていた足場を失い、拠り所にしていた支えも失い――彼は一体何を思って生きているのだろうか。彼は自分を命の恩人だと言う。だけどそれは本心からのものなのだろうか?自分はギアッチョに、ただ終わることすら許されない痛みを与え続けているだけなのではないか―― ルイズには何も解らない。ただひたすら辛く、そして悲しかった。
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釘宮理恵の主人公ボイスが話題を呼んだ「ツンデレアニメ」(笑)。基本的に世界観が中世ヨーロッパに近いが、設定上貴族のため一部名前が長いキャラは端折っている。第三期まで含む。 アニエス・ミラン(アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン) アンリエッタ・トリステイン(アンリエッタ・ド・トリステイン) イザベラ・エレーヌ エレオノール・ラヴァリエール(エレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエール) カトレア・ラヴァリエール(カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ) キュルケ・ツェルプストー(キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー) クリスティナ・オクセンシェルナ(クリスティナ・ヴァーサ・リクセル・オクセンシェルナ) ケティ・ラ・ロッタ(ケティ・ド・ラ・ロッタ) シェフィールド・ミョズニトニルン(ミョズニトニルンは「虚無の使い魔」としての名) シャルロット・エレーヌ(タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン) ) シルフィード・イルク(シルフィードは使い魔としての名、イルクは同族間での呼び名「イルククゥ」から) ティファニア・ウエストウッド ベアトリス・クルデンホルフ(ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ) マチルダ・サウスゴータ(マチルダ・オブ・サウスゴータ) ミシェル・ガナーズ(アニメ版オリジナルキャラクターでミシェルという名前のみしか設定がなかったが、銃士隊副官ということでガンナーズ=ガナーズに) モンモランシー・ド・モンモランシ(モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ) ルイズ・ラヴァリエール(ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール)
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ゼロの使い魔~双月の騎士~ ぜろのつかいま~ふたつきのきし~ 監督:紅優 シリーズ構成・脚本:河原ゆうじ キャラクター原案:兎塚エイジ キャラクターデザイン・総作画監督:藤井昌宏 音楽:光宗信吉 アニメーション制作:J.C.STAFF オープニング テーマ曲:「I SAY YES」作詞:森由里子 作曲:坂部剛 編曲:新井理生 歌:ICHIKO エンディング テーマ曲:「スキ? キライ!? スキ!!!」作詞:森由里子 作曲・編曲:新井理生 歌:ルイズ(声:釘宮理恵) TVアニメ「ゼロの使い魔~双月の騎士~」サウンドトラック I SAY YES [Maxi] スキ?キライ!?スキ!!! [Maxi] 2007年 作品名:せ
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―眼を開いた時、彼の眼に飛び込んできたものは満天の青空だった。 青空・・・? バカな・・・オレはさっき死んだハズだ 延髄を「ブッ刺されて」よォォ・・・! そうだ、覚えている・・・奴らの『覚悟』に負けたことを 「―何だァ~?・・・っつーことはよォォ・・・ ここは天国・・・いや 地獄ってわけかァ?」 爆風の中から現れた男はよく解らないことを呟いている。それを認識したルイズは、しかしその認識を疑わざるを得なかった。 爆風の、中から、現れた、男? 男・・・つまり人間。人間・・・つまり? 現れた男は・・・どうみても貴族には見えなかった。つまり。 平民。平民を召喚してしまった。 「冗談でしょ・・・?」愕然として呟くルイズに、周囲から更に追い討ちがかかる。 「あいつ、平民を召喚しやがった!」 「サモンサーヴァントで平民を召喚するなんて聞いたことないぜ!」 「流石はゼロのルイズ!俺たちに出来ないことを平気でやってのけるッ!」 「そこにシビレないし憧れもしない」 しかしルイズはそれに怒るどころではなかった。強くて美しい使い魔を召喚すれば、散々自分を バカにしてきた奴らを見返すことが出来る。家族に胸を張って会うことが出来る。 彼女はそれを期待していたし、自分ならきっと召喚出来るという根拠の無い 自信もあった。それが、こんなヘンな髪型の平民を召喚してしまうなんて! ―とりあえず、彼は状況を把握することにした。 「城・・・いや砦か?よくわからねーが・・・ここはその中庭って所か? いよいよ天国じみてるじゃあねーか!ええおい?」 そこまで考えて彼は前方を見る。ド派手な髪の少女がそこに立っていた。 「・・・天使にゃあ見えねーな」 そして彼はふと思いつく。もしかしてこれはスタンド攻撃ではないか?既に死に体だったはずの自分をわざわざ攻撃してくる理由など無いとは思ったが、警戒するに越したことはないと彼は判断した。 ルイズは覚悟を決めて―というよりは全てを諦めて―男に話しかけた。 「・・・あんた、誰?」 ドグシャアア!! 言い終わる間もなくルイズは首根っこをつかまれ、そのまま地面に叩きつけられた。 「いっ・・・!!な・・・何をするのよ!貴族にこんなことをしてただで済むと・・・ 痛ッ!?」 叩きつけられたものではない―焼け付くような擦り切れるような名状しがたい痛みを感じて、ルイズは首をつかんでいる手を見る。 「何よこれ・・・ まさか・・・魔法・・・!?」 男の手を中心に、ルイズの体は首から胸にかけて完全に凍っていた。 「ここはどこだ?てめーはオレに何をした?3秒で答えな・・・首をブチ割られたくないならよォォ」 ルイズは一瞬で理解した。冗談で言っているんじゃあない、こいつの眼にはやると言ったらやるスゴ味がある! 「こっ、ここはトリステイン魔法学院で!あんたは私が召喚したのよ!!」 ・・・ 数瞬の沈黙が流れ。 「魔法だと?てめー・・・イカレてるのか?それともバカにしてんのかァァ~?」 「う、嘘じゃないわ!ここはトリステイン王国のトリステイン魔法学院であなたは私が サモンサーヴァントで召喚した使い魔なの!!」 「・・・つまり ここは魔法の学校で てめーはオレを魔法で呼び出したってワケか?ガキ」 「そっ、そうよ!解ったのなら早く手を―」 「・・・ブチ・・・割れな・・・」 「なッ!?」 尋問は失敗、このガキは死んでもオレに何かを喋る気はねーらしい。男はそう判断したようだった。しかし首に力を入れようとしたその時、男の鼻先をかすめてサッカーボール大の火球が地面に激突した! 「何だァァ~?スタンド攻撃かッ」 男が火球の射出地点とおぼしき場所に眼を向けると・・・そこには燃えるような長髪の少女がいた。 「何だかよく分からないけど・・・あなた、その子から手を放しなさい!さもないと容赦しないわよ!」 「キュ・・・キュルケ・・・」 バッ! 「容赦しねェだとォォ~~?なめてんのかァーーッこのオレをッ!!」 男がルイズを投げ捨てて立ち上がると、その体からは壮絶な冷気が噴き出しはじめた。 「いいだろう てめーら全員氷づけにしてからゆっくり尋問するのも悪かねーッ」 そして男は自らの力を―スタンドを、発現させる。 「ホワイト・アルバムッ!!!」 戻る 次へ
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翌日。いつものようにフレイムをギアッチョの監視に行かせたキュルケは、彼らが馬に乗ってどこかへ出掛けた事を知った。ここ数日でギアッチョを危険だと感じた事はなかったし、もうぶっちゃけ監視とかしなくてよくね?時間の無駄じゃね?と思いつつあったキュルケだが、学院外に出るという今までに無いパターンだったので念の為もう一日だけ監視を続行することにする。 キュルケが急いで支度を済ませて廊下に出ると、ルイズの部屋の前で棒立ちしていた男と眼が合った。松葉杖をつき、服の下からは包帯が見えている。ギーシュ・ド・グラモンその人であった。 「・・・あなた何してるの?」 キュルケはいぶかしげに尋ねる。 「・・・や、やあキュルケ ちょっとルイズに用があるんだが・・・まだ寝てるのかここを開けてくれなくてね・・・」 ギーシュはばつの悪そうな顔をしながら答えた。 「用?あなたがルイズに?またあの子に何かしようとしてるんじゃないでしょうねぇ」 「そ、それは違う!僕はただルイズに謝ろうと・・・」 聞けばギーシュは二股をかけており、そいつがバレた上にビンタでフられてムカムカしていたところにルイズとぶつかってモンモランシーの為の香水がブチ割れて、彼は怒りで周りが見えなくなってしまったのだという。 「・・・呆れた 完全に逆恨みじゃない あなた貴族としてのプライドってものがないの?」 二股のくだりだけはキュルケに文句を言われる筋合いはないはずだが、概ね正論だったのでギーシュは黙って耐えた。 「それで、謝りたくてやって来たんだが・・・」 「ルイズならもういないわよ」 「な、なんだってーーー!?」 物凄い顔で驚くギーシュにキュルケは溜息を一つついてから、 「ルイズと一緒にギアッチョもいるんだからどっちか一人は気付くでしょ 常識的に考えて・・・」 とのたまった。その「ギアッチョ」という言葉に、ギーシュの体がビクリと反応する。 「・・・そ、そそそういや彼もいるんだったねぇ・・・ハハハ・・・ハ・・・」 ギーシュにとってギアッチョは相当トラウマになっているようだった。ヒザが滑稽なぐらいガクガク笑っている。 あんな目に遭っておいてトラウマになるなというほうが無理な話ではあるが。 「私はこれからタバサに頼んでシルフィードでルイズ達を追いかけるつもりだけど・・・あなたはどうする?」 キュルケの助け舟に、「是非とも一緒に・・・」と叫びかけたギーシュだったが、 「・・・ちょ、ちょっと待ってくれたまえ ルイズ『達』ということは・・・」 「勿論ギアッチョもいるわよ」 ビシッ!と心臓が凍った音が聞えた。ギーシュは「・・・あ・・・あう・・・」とまるで懲罰用キムチでも食らったかのように呻いている。 そんなギーシュを見てキュルケは更に溜息を重ねると、 「どの道ギアッチョはルイズの使い魔なんだから、いつでもあの子と一緒にいるでしょうよ ルイズが一人になる隙をうかがうよりは今特攻したほうがスッキリすると思うけど?」 生きていればね、と小さな声で付け加えてギーシュを見る。 「き、聞えてるぞキュルケ!やっぱりダメだ・・・ここ、こっそりルイズに手紙を渡して人気の無いところへ呼び出して・・・」 常軌を逸した怯え方である。殺されかけたという事に加えて、自分の魔法をことごとく破られ跳ね返されたという事実が彼の恐怖を加速させていた。 キュルケは呆れを通り越して哀れになってきたが、いい加減出発しないとシルフィードでもルイズ達を見失うかもしれない。 これを最後にするつもりでキュルケはギーシュに発破をかけた。 「あなた少しは男らしいところ見せなさいよ こんなところをあの使い魔が見たらまた『覚悟』が無いとか言われるんじゃあないの?」 「――!」 その言葉に、ギーシュは動きを止めた。彼は何かを考え込むようにわずか沈黙し、真剣な眼でキュルケを見る。 「・・・ねぇ君 『覚悟』って一体何なんだろう」 先ほどまでのヘタレ具合とは一転、彼の眼には苦悩の色が浮かんでいた。 「あの男――ギアッチョに言われたことがずっと耳から離れないんだ 『覚悟』って何なんだ?彼と僕と、一体何が違うんだ? ギアッチョと僕を隔てる、絶対的な何かがあるのは解る だけど一体それが何なのか、いくら考えても答えが出ない」 ギーシュの懊悩は、キュルケには解らない。あの男の真の凄み、そして恐ろしさは、対峙してみなければ理解は出来ない。ギーシュはそう知りつつも、誰かに疑問をぶつけずにはいられなかった。例えギアッチョと同等の能力を持っていたとしても、 自分は永遠に彼に勝つことは出来ない。そうさせる何かが、あの使い魔にはある。 自分にはそれがない。その事実がただ悔しかった。 「あの決闘で――自分がどれほど自惚れていたのかを思い知らされたよ」 ギーシュはうつむいて言葉を吐き出す。 「・・・そして どれほど愚かだったのかも」 なまじっか顔と成績がいいばっかりに、高く伸びていたギーシュの鼻をヘシ折れる生徒は存在しなかった。そのギーシュを完膚なきまでに叩きのめしたのは、タバサでもキュルケでも、マリコルヌでもモンモランシーでもなかった。 ゼロと蔑まれていた少女、その人間の、しかも平民の――加えて言うならば顔もよくはない――使い魔だったのである。 ギーシュのプライドは粉々にブチ割れた。そして同時に、自分がどれほど他人を見下していたかを理解した。 「こんな屈辱に――ルイズはずっと耐えてきたんだ ・・・僕は 僕はどうしようもなく馬鹿だった」 彼女に謝罪しなければならないと言うギーシュの眼は、紛れもなく本気だった。 タバサはキュルケ達の頼みを快諾した。他でもない唯一の親友キュルケの頼みだという事もあるが、あのギーシュがそりゃもうジャンピング土下座でもしそうな勢いで頼み込んで来たのである。 それも己の利益の為ではなく、純粋に少女への謝罪の為とくれば、いくら虚無の曜日とはいえタバサも力を貸すにやぶさかではなかった。 そういうわけで彼女達は今タバサの使い魔である風竜、シルフィードに乗ってルイズ達を追っている。竜の背中でタバサは中断していた読書を再開し、キュルケはしきりとシルフィードを褒め称え、ギーシュは勢いで飛び出してきたもののやっぱりギアッチョが怖いらしく、時折キュルケの口からギアッチョの名が出る度にビクビクと震えていた。 「ギーシュ あなたいい加減腹をくくったら?」 ちょっと男らしい事を言ったかと思えばこれである。キュルケはまたも呆れていた。 「そ、そんなこと言ったって怖いものはしょうがないじゃないか!自分の魔法で全身蜂の巣にされる恐怖が君に分かるかい!?」 ギーシュがまくし立てると、 「自業自得」 タバサが活字に眼を落としながら呟く。それを聞いたキュルケが思わず噴き出し、ギーシュはもういいよとばかりにがっくりと肩を落とした。
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※タバサが平成版ガメラに登場するギャオスを召喚。 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐1 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐2 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐3 ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐4
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「ローゼンメイデン」の蒼星石と「仮面ライダーカブト」の矢車想 第一章 ゼロの使い魔 緑と蒼の使い魔-01 第一話 召喚
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【種別】 使い魔 【解説】 始祖ブリミルが従えていたという四体の使い魔。 神の左手ガンダールヴ。神の右手ヴィンダールヴ。神の頭脳ミョズニトニルン。 現在確認されているのはこの三つのみ、もう一人は記すことさえはばかれるとのことで不明。
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【作品名】ゼロの使い魔 〜三美姫(プリンセッセ)の輪舞〜 OP 【曲名】YOU RE THE ONE 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜三美姫(プリンセッセ)の輪舞〜 ED 【曲名】ゴメンネ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□
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「おい、起きな」 ガン!とルイズのベッドを蹴り飛ばす。しかしルイズは起きない。 ガン!もう一度、更に強く蹴り飛ばす。しかしルイズは目覚めない。 ドガン!更にもう一度、勢いをつけて蹴り飛ばす。しかしルイズは気付かない。 ベッドを蹴り飛ばしていた男の眼がスッと感情をなくす。 「クソガキ・・・このオレがわざわざ早起きまでして仕事をしてやってる ってェのによォォ~~」 ギアッチョの糸より細い堪忍袋の緒は音も立てずに切れた。 「ホワイト・アルバム」 ギアッチョがその言葉を口にした途端、ルイズの部屋は北極の海にでも 投げ込まれたかのように急激に冷え始めた。 ビシィッ! 窓が凍る。 ビシィィッ!壁が凍る。 ビシビシィッ!!絨毯が凍り、 ビキキキキッ!!シーツが凍り始めたところで、 「さ、さささ寒ッ!!?」 ルイズはようやく眼を覚ました。 「ようやくお目覚めかァ?お嬢様」 「なななななッ!何してんのよあんたはァーーーッ!!危うく二度と起きられ なくなるところだったじゃないッ!!」 「別にいいじゃあねーか そうなりゃ二度と早起きしなくて済むんだぜ それによォ これでおめーは『起きなきゃ殺される』って事が理解出来た わけだ 明日からはちゃんと目覚められるんじゃあねえか?ええおい」 ギアッチョの詭弁にもなっていない発言にルイズがブチキレかけた時―― バガンッ! ドアを開けたとは思えないような音を立ててキュルケが部屋に入ってきた。 「何やってるのよあなた達ッ!私の部屋まで凍り始めたわよッ!!」 「このお嬢様がいくら起こしても起きねェもんでよォォ~~ 手っ取り早く 起こす方法を取ったってェわけだ もう解除はしてある 安心しな」 勢いで飛び込んできたもののギアッチョは正直怖い。キュルケは怒りの 矛先をルイズに向けることにした。 「ああそう・・・それにしてもルイズあなた何歳よ?それとも睡眠に何か こだわりでもあるワケ?生死を賭けた状況になるまで起きないなんて そうそう出来ることじゃあないわよねぇ」 「うっ、うるさい!昨日は色々疲れてたのよ!」 昨日の礼を言うどころか罵倒で返してしまった。これだから私は、と ルイズは内心自分が情けなくなる。 「やれやれ、それじゃあ私は部屋に帰るわ。明日はこんなことになる 前に起きてよね」 そう言い残してキュルケは去って行った。 「ギアッチョ!あんたのせいよ!」ルイズはギアッチョをキッと睨む。 「あんたは今日から雑用だからね!まずは私の服を着替えさせてそれから ――、って!どこ行くのよッ!!」 ルイズが気付いた時にはギアッチョは既にどこかへ行ってしまった後だった。 「あのダサ眼鏡・・・どうやら使い魔としての自覚が足りないようね・・・! 私の従者としての立場を教育してやる必要があるわッ!!」 喉元過ぎればなんとやら。ギアッチョの呼び方があなたからあんたに戻って いることといい、どうやらルイズは昨日の恐怖をすっかり忘れ去って いるようだった。 あの後、結局ギアッチョは部屋に戻ってこなかった。ルイズの怒りは 収まらないようで、「せいぜい勝手に歩き回って朝食を食いっぱぐれれば いいんだわ!」と怒りもあらわに一人食堂に向かった。 食堂に入り、適当な場所を探していたルイズだが―― ドグシャアァ!! というおよそ食事をする場所では耳するはずのない音を聴いて振り返り。 そして奴を発見した。 ルイズ言うところのダサ眼鏡は―貴族専用の椅子にどっかりと鎮座し、 テーブルを殴りつけながらワケの分からないことを叫んでいた。 「テーブルマナーってよォォォ~~ イギリス式とフランス式で作法が 違うんだよォォォ~~~ スープの飲み方とかフォークの置き方とか よォーーーッ それって納得いくかァ~~?オイ? オレはぜーんぜん 納得いかねえ・・・ どういう事だッ!どういう事だよッ!クソッ!オレを ナメてんのかッ!一つに統一しろッ!ボケがッ!」 何度も殴られたテーブルは形が歪み始めたが、そんなことおかまいなしに ギアッチョは暴れ続けている。一方ルイズは、口の端を引きつらせたまま 完全に固まっていた。 数秒して我に返ったルイズが採った行動は、とにかくこの場から逃げる ことだった。「あいつが私の使い魔だってことがバレたら・・・!」と思うと ルイズの心臓は凍りつきそうだった。が、1秒後彼女の心臓は脆くも ブチ割れることになる。 「ああ~?ルイズじゃあねーか 遅ェぞご主人様よォォ~~!」 その瞬間食堂にある数十対の目が全てルイズに集まり―彼女は本気で 泣きたくなった。 「何やってんのよあんたはァーーーーーーッ!!!」 ルイズは激怒した。必ず、この横暴無比の使い魔を躾けねばならぬと決意 した。ルイズには裏社会の事がわからぬ。ルイズは、貴族のメイジである。 杖を振り、失敗を重ねて生きてきた。けれども無礼に対しては、人一倍に 敏感であった。 「見なさいよこれッ!テーブルがバキバキにヘコんじゃってるじゃないのよ! ああっ!?しかも貴族用の料理を平らげてる・・・食前の唱和すら始まって ないのに!!」 「ああ?何か悪かったかァ?こっちのルールはまだよく知らないもんでよォォ」 「このバカッ!周りを見なさいよ!誰一人食事をしてないのに待たなきゃ いけないってことがわからないの!?いやそれ以前にあんたの世界じゃ テーブルは殴り壊していいってルールでもあったわけ!?ええ!?」 物凄い剣幕である。しかも涙目。これにはギアッチョもちょっとだけ悪い事を した気分になった。 「そりゃあ悪かったな。ま・・・次からは気をつけるとするぜ」 しかしその余裕の態度が更にルイズの怒りを燃え上がらせる。 「・・・あんた 今から私の部屋を掃除してきなさい!それが終わったら 教室の掃除よ!授業が始まるまでにね!」 「ああ?」 「ご主人様には敬語を使いなさい!私が上!あんたは下よッ!!私の 事はルイズお嬢様と呼びなさい!そして常に私の後ろに控えていることッ! 良いわね!!」 そこまで言うと一瞬ギアッチョの眼が温度をなくしたように見えたが、ルイズ は負けじと睨み返した。 「・・・やれやれ 仕方ねえ・・・ 掃除をさせていただくぜェェ ルイズお嬢様 よォォー」 どうみても敬意はこもってなかったが、 「わ、解ればいいのよ!行きなさい!」 ルイズはとりあえず妥協することにした。なんだかんだでやっぱりギアッチョの 眼は怖かったようである。 前へ 戻る 次へ